施術の特徴

よく、フレンチの基本はソースにあるといわれます。

海外の料理は、何かを加えることで味を出す【足し算】の料理です。

料理も医学も、根本にある考え・哲学は同じです。

西洋医学も同じく、足し算です。

注射、飲み薬、坐薬、塗り薬…。

今まで体になかったものを、お薬としてどんどん足していきます。

体への負担はどうなのでしょうか？　

その一方で、日本料理はダシなどでうま味を引き出す【引き算】の料理といわれています。

日本に伝来してから、千数百年が経過している東洋医学。

その東洋医学の一翼を担う鍼灸治療では、鍼や灸で体を刺激することで、体内に働きかけます。

よく誤解されるのですが、鍼灸治療では、術者の気を患者様に送るといったことは、しておりません。

何も足さない。

鍼やお灸という道具を手段として、患者様の体内にある治癒力を【引き出す】だけです。

不調・病と闘っているお体ですので、体が整うまでに時間はかかることが多いです。

しかしながら、体への負担は小さくてすみますし、副作用もありません。

少数穴治療とは、どのような病であったとしても、施術に使うツボを少数（１〜４ヶ所程度）にする治療のことです。

患者様がつらいと感じている場所ではなく、病の根幹である気の歪み・停滞に対して施術を行います。

樹木で例えるなら、お辛いと感じている症状は枝葉の部分であり、その原因は幹や根である別の部分にあります。

原因である根幹の部分が良くなれば、症状である枝葉の部分も自然と改善してきます。

そのため、例えば、腰痛の患者様に対して手に鍼をする、ということもあります。

また、施術に使うツボを絞るために、じっくりと問診し、丁寧に身体を診ることが必要となります。

この少数穴治療には、２つの大きなメリットがあります。

【メリット１】：患者様のお体への負担が少ない

ツボを絞ることで、施術効果が分散されることなく働き、患者様の自然治癒力に作用して、つらい症状を改善いたします。

あちこちへ施術するよりも、お体への負担を最小限に抑えることができます。

【メリット２】治療後に、効果の検証が容易

例えば、腰痛の方の腰に１０本鍼を刺したとします。

それで良くなればよいですが、よくならなかった場合、どの鍼がよくてどの鍼がダメだったのか本当に分かるでしょうか？

鍼や灸をするツボを少数に絞るということは、効果判定が容易だということです。

その施術が本当に最善であったのか、刺激の種類や量は適切であったのかを、脈をはじめとしたお体の変化から検証いたします。

１回や２回の施術で症状が根治するということは、稀です。

患者様の貴重な資源（人生の時間・お金）を割いて頂くのが施術です。

１回１回の施術を無駄にしないためにも、しっかりとした検証を毎回行います。

その結果、次回以降の施術の精度が上がり、患者様に合わせた最適な施術を行いやすくなります。